3回目の江戸文化のお話です。
前回はお蕎麦の話でしたが、お蕎麦に付き物の「天ぷら」について、皆さんは「江戸前」の意味をご存じですか?「江戸前」とは「江戸流・江戸スタイル」という意味らしく、ほかに「男前」などの表現もありますよね。天ぷらについても、上方では魚を練ってあげものが「てんぷら」で、手間がかかっていました。今でも関西のほうではさつま揚げを「天ぷら」と呼ぶ地方もありますよね。でも、江戸の人は気が短いので魚を切ってその切り身をそのままあげるほうが手早く好まれました。そのため、「江戸前の天ぷら」とはエビや白身魚をそのまま衣に包んで揚げるスタイルになったのです。
「食文化」だけでも、江戸時代を振り返ると、江戸っ子の気質が表われ、「負けず嫌いで気が短いが、人情深く情が深い、といった性格が目に浮かびます。