江戸の話④

4回目は食べ物ではない話題です。皆さん「花魁(おいらん)」はどんなイメージを持
っていますか? 花魁は江戸では大スターだったそうです。庶民には高根の花であり、会
いに行っても初回は見るだけ、2回目は声を聞くだけ、3回目でやっと会えるようになるそ
うです。  町を歩くときも「花魁道中」といって、若い花魁候補を取り巻きにして下駄
をはいて、吉原の大通りをゆっくり歩きます。まるでパレードですね。
髷(まげ)に至っては豪華なかんざしや櫛で飾られ、首から上だけで「家一軒分」と言
われたそうです。そのため首を動かすには上半身から動かさなければならず、花魁がゆっ
くりした立ち居振る舞いをするのは、頭の重さのせいでもあります。が、実は花魁は腰巻
にひを巻かないため激しく動くと落ちてしまう、という理由もあったそうです。
「ありんす言葉」をご存じですか?花魁が使う言葉として有名ですが、地方によっては
「おす(例:じれっとおす)」「ざんす(よござんす)」「まし(こっちに来なまし)」
などいろいろあります。また自分のことを「わちき」というのも花魁言葉です。男っぽい
ですね。でも、きれいな女性が男っぽい言葉を使うと色気が増すのです。
花魁にもランクがあります。もちろん高いランクの花魁ほど、なかなか手が届かないし
、会うためのお金もかかりますが、こういう花魁さんは、花を生けたりお茶をたてたり、
歌を詠んだり、書道もできる。つまり、花魁としての芸をしっかり学んで身に着けている
からお得意様からたくさん貢いでもらえるのです。楽ではないかもしれませんね。
驚いたことに、花魁はお座敷ではものは食べず、箸も取りません。また、笑うこともな
く、人形のようにしとやかに座っています。そのため、花魁を笑わせられた旦那は自慢し
ていたそうですよ。
いずれにしても大スターの花魁と遊ぶには大きな費用が掛かるため、楽しめるのは一部
の富豪だけだったでしょうね。

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