更年期障害

ほてりや発汗、関節の痛み、気分の落ち込みなど、更年期には全身にさまざまな不調がみられることがあります。

はるみクリニックでは、痛み外来・整形外科外来・漢方外来の連携により、お悩みの症状に対する適切な治療方針をご提案します。

更年期に起こる代表的な症状

✔ ほてり・のぼせ・急な発汗(ホットフラッシュ)
✔ 疲れやすい、体がだるい
✔ 頭痛、めまい、動悸
✔ 肩こり、腰痛、手指や膝などの関節痛
✔ 寝つきが悪い、夜中に目が覚める
✔ イライラ、不安、気分の落ち込み、集中しにくい

更年期障害が起こるメカニズム

ホルモン変動による自律神経の乱れ

更年期には卵巣機能の低下に伴い、エストロゲンの分泌量が大きく変動しながら減少します。

エストロゲンは月経や妊娠に関わるだけでなく、全身の健康維持にも関与する女性ホルモンです。

エストロゲンの分泌が低下すると、脳は下垂体を介して卵巣にホルモン分泌を促しますが、卵巣は十分に応答できません。こうした視床下部・下垂体・卵巣系の変化が、体温や発汗などを調節する自律神経の働きにも影響します。

その結果、ほてり、発汗、動悸、睡眠の乱れなどの症状が現れることがあります。

エストロゲン低下による全身への影響

エストロゲンは血管・骨・皮膚・関節などの機能を支えているため、分泌量が低下すると、関節のこわばりや筋肉痛といった運動器症状にもつながる場合があります。

さらに、加齢による変化、心理的要因、生活環境のストレスが重なることで、症状の種類や強さ、現れ方には個人差が生じます。

痛み外来に対応する更年期障害

自律神経が関わる慢性痛

交感神経の過剰な緊張が続くことで、血流の低下や筋肉のこわばりが生じ、痛みが慢性化しているケースです。肩や首まわりに症状が現れやすい傾向があります。

該当する症状

  • 慢性的な肩こり
  • 緊張型の頭痛
  • 手足の冷え・しびれ
  • 慢性化した腰の重だるさなど

筋肉の緊張によるこり・痛み

同じ姿勢が続くことや、自律神経の乱れによる血流低下が重なり、筋肉に負担がかかっている状態です。押すと響くような痛みを伴うこともあります。

該当する症状

  • 首や背中の張り
  • 筋肉のこわばり
  • 押すと痛みが響く部位(トリガーポイント)など

整形外科に対応する更年期障害

関節・筋肉の症状

エストロゲンには軟骨や関節周囲の組織を保つ働きがあるため、分泌低下によって関節のこわばりや痛みが現れやすくなります。

手指の関節や肩など、複数の部位に症状が現れることもあります。

該当する症状

  • 手指の関節のこわばり
  • 関節の痛み
  • 肩の痛み・動かしにくさ
  • 筋力の低下
  • 腰まわりの張り感など

骨密度低下に伴う症状

エストロゲンには骨の代謝を保つ働きがあり、閉経後は骨密度が低下しやすくなります。

骨密度が低下しても通常は自覚症状がありませんが、骨折が生じると背中や腰の痛み、身長の低下、円背などが現れることがあります。

該当する症状

  • 骨折に伴う背中や腰の痛み
  • 軽い衝撃での骨折
  • 身長の低下や姿勢の変化(円背)など

漢方外来に対応する更年期障害

血管運動・自律神経症状

エストロゲンの急激な低下により、体温調節を担う自律神経のバランスが乱れることで現れる症状です。短時間で強く出ることもあれば、一日を通して繰り返すこともあります。

該当する症状

  • ほてり
  • のぼせ
  • ホットフラッシュ
  • 発汗
  • 冷え
  • めまい
  • 動悸など

精神神経症状

自律神経の乱れに加え、環境の変化や心理的な負荷が重なることで現れやすい症状です。自律神経症状と同時期、またはやや遅れて現れることがあります。

該当する症状

  • 不眠
  • イライラ
  • 不安感
  • 気分の落ち込み
  • 意欲の低下
  • 物忘れなど

身体・消化器症状

更年期には、エストロゲンの変動に加えて、ストレスや睡眠の乱れなどが重なることがあります。その結果、消化器症状や皮膚・粘膜の乾燥、疲労感など、さまざまな不調が現れることがあります。

該当する症状

  • 食欲不振
  • 胃もたれ
  • 肌や粘膜の乾燥
  • 疲労感
  • 肩こり
  • 頭痛など

更年期障害の診断・検査

当院では、痛みの症状を中心に、月経の変化やほてり・発汗、睡眠の乱れ、日常生活への影響を丁寧に伺い、更年期障害の可能性を総合的に判断します。

関節のこわばりや筋肉痛、腰痛などがある場合は整形外科外来で診察し、運動器疾患など痛みの原因がないかを確認します。

必要に応じて血液検査などを行い、甲状腺疾患や貧血など、更年期障害と似た症状を引き起こす病気を除外します。

更年期に伴う不調や痛みには、漢方外来での治療も含め、症状や体質に合わせたケアをご提案する形です。

更年期障害の主な治療法

薬物療法

関節や筋肉の痛み、しびれ、腰痛など、更年期に伴って現れやすい運動器の症状に対する薬物療法を行います。

痛みの原因や程度を評価し、必要に応じて消炎鎮痛薬、外用薬、神経の痛みを抑える薬などを選択します。薬の種類や量は、痛みの部位や強さ、生活への影響、既往歴などを踏まえて決定することが重要です。

治療中は効果と副作用を確認しながら、薬物療法に物理療法や生活指導も組み合わせて、痛みの軽減と日常生活の維持を目指します。

漢方治療

漢方治療では、加味逍遙散や当帰芍薬散、桂枝茯苓丸などが更年期障害の症状に応じて選ばれることがあります。

ほてり・のぼせ、冷え、めまい、肩こりなどの症状や体質を総合的に判断し、処方を検討します。

服用を始めたあとも、症状の変化を確認しながら処方を調整していくことが大切です。

漢方で取り扱う症状・治療はこちら

栄養療法

血液検査の結果で、貧血やたんぱく質不足などがみられる場合は、更年期障害に関係している可能性も考慮し、不足している栄養素や日常の食事内容についてご提案します。

食事だけで補いにくい場合や、検査結果・症状に応じて必要と判断した場合には、サプリメント(自由診療)をおすすめすることもあります。

栄養療法の詳しいご案内はこちら

トリガーポイント注射

トリガーポイント注射は、筋肉や筋膜にできた圧痛点に局所麻酔薬などを注入し、痛みや緊張を和らげる治療法です。

星状神経節ブロックが自律神経系への働きかけを中心とするのに対し、トリガーポイント注射は筋肉そのものの張りやこりに直接アプローチします。

更年期に伴う肩こりや背部の張り感が、特定の筋肉の緊張によって強まっている場合に選択肢となります。

神経ブロックと組み合わせて、自律神経と筋肉の両面から痛みの緩和を図ることも可能です。

神経ブロック(保険適応外)

神経ブロックは、局所麻酔薬を用いて過剰に興奮した神経の働きを一時的に鎮める治療法です。

更年期障害では、自律神経の乱れが関わる症状や、肩まわりの痛みに対して検討します。

星状神経節ブロック

頸部の交感神経の近くに局所麻酔薬を注入し、交感神経を一時的に遮断することで、痛みの軽減や血流の改善を図る治療法です。

更年期に伴う首・肩・上肢の痛みや冷えなどについて、症状や診察所見に応じて検討します。

肩甲上神経ブロック

肩甲上神経の周囲に局所麻酔薬を注入し、肩関節まわりの痛みを和らげる治療法です。更年期にみられる肩の痛みや動かしにくさに対して、リハビリテーションと組み合わせて用いることがあります。

理学療法

キセノン治療器は、キセノン放電管から発する光を患部に照射し、その温熱作用による血流の改善や痛み・炎症の緩和を図る物理療法機器です。

腰痛、関節痛、筋肉痛、神経痛などのさまざまな痛みに対して、症状や状態に合わせて照射部位を選択します。

薬物療法やリハビリテーションと組み合わせながら、痛みの軽減と日常生活での動きやすさの維持をサポートします。

生活指導

更年期障害の症状を和らげるためには、治療とあわせて生活習慣を整えることも大切です。

無理のない範囲でのウォーキングやストレッチなどは、気分転換や睡眠の質の向上に加え、筋力や骨の健康の維持にも役立ちます。

睡眠・食事・活動のリズムはできるだけ規則的にしましょう。バランスのよい食事と十分な休養を心がけることで、心身の状態を整えやすくなります。

ストレスの感じ方や生活環境も症状に影響するため、日常生活で実践しやすい対処法を一緒に考えていきます。

その他の治療法

漢方外来・整形外科外来・痛み外来で対応できない症状がある場合や、婦人科での評価・治療が適していると判断した場合は、症状に応じた専門医療機関をご紹介します。

ほてり・発汗などの症状が強い場合や、日常生活に大きな支障がある場合には、ホルモン補充療法(HRT)を含む婦人科での治療が選択肢となります。

骨密度の低下が疑われる場合や、関節リウマチなど他の病気が隠れている可能性がある場合にも、専門医療機関への紹介を行う形です。

気になる症状があれば、一人で抱え込まず、まずは当院にご相談ください。

更年期障害でよくあるご質問

Q1|更年期障害はいつ頃から始まりますか?

A1|多くは40代半ばから50代にかけて始まります。閉経前後の10年間が更年期にあたり、症状の出方には個人差があります。

Q2|星状神経節ブロックは更年期の症状に用いられますか?

A2|自律神経の乱れが関わる症状に用いられることがありますが、保険適応外になります。ほてりや冷え、慢性的な肩こりに対する選択肢の一つとして、診察のうえで適応を判断します。

Q3|漢方薬とホルモン補充療法は併用できますか?

A3|組み合わせて用いられる場合があります。体質や症状、婦人科での治療方針を踏まえながら、当院での漢方治療の内容を検討します。

Q4|更年期障害の症状はどのくらいの期間続きますか?

A4|個人差が大きく、数年で落ち着く方もいれば長引く方もいます。症状が続く場合や日常生活に支障が出ている場合は、我慢せず早めにご相談ください。