帯状疱疹

帯状疱疹は、体内に潜伏していた水痘・帯状疱疹ウイルスが再び活動を始めることで、体の片側に帯状の発疹と強い痛みが現れる病気です。

発疹が治った後も痛みだけが残る状態は、帯状疱疹後神経痛と呼ばれます。

当院の痛み外来では、発症後の経過や痛みの性質にあわせて、抗ウイルス薬による治療や神経ブロックを行っております。

また、慢性化した痛みに対しては、神経障害性疼痛治療薬などを用い、時期や症状に応じた治療をご提案します。

帯状疱疹による痛みの移り変わり

前駆期|発疹が出る前

発疹が現れる数日前から、体の片側にピリピリとした違和感や軽い痛みが生じることがあります。

急性期|発疹・水疱期

赤い発疹や水疱が帯状に広がり、強い痛みを伴う時期です。神経節で再活性化したウイルスが神経に沿って皮膚へ広がり、神経や皮膚に炎症を引き起こします。

慢性期|帯状疱疹後神経痛

発疹が治った後も痛みだけが3か月以上続く状態で、焼けるような痛みやしびれを特徴とします。

帯状疱疹後神経痛に移行しやすい人の特徴

✔ 50歳以上で帯状疱疹を発症した人
✔ 発疹や痛みの程度が強かった人
✔ 顔面や眼の周囲に症状が現れた人
✔ 免疫機能が低下している人

帯状疱疹の診断・検査の流れ

診察では、痛みの部位や性質、発疹の状態を確認し、帯状疱疹に特徴的な皮膚症状かどうかを判断します。

発疹がはっきりしない場合や、臨床症状だけでは判断が難しい場合は、必要に応じて水疱内容物などを用いたウイルス抗原検査やPCR検査を行い、総合的に診断します。

発疹が治ったあとも痛みが続く場合は、痛みの範囲や性質、既往の経過を踏まえて帯状疱疹後神経痛として評価し、治療方針を立てることが重要です。

帯状疱疹の治療法

抗ウイルス薬による初期治療

帯状疱疹の発疹が出た段階で検討するのが、ウイルスの増え方を抑える目的で使用する抗ウイルス薬です。

皮膚症状の拡大を抑え、治癒を早める効果が期待されており、一般的には処方された抗ウイルス薬を7日間程度服用します。ただし、帯状疱疹後神経痛そのものを確実に防げる治療ではありません。

処方時には、年齢や腎機能、持病などを踏まえて薬の種類や量を決めます。

神経ブロック

星状神経節ブロック

星状神経節ブロックは、首の前方にある交感神経の集まりの周囲へ局所麻酔薬を注入する治療です。

顔・首・腕など、上半身に帯状疱疹の痛みが出ている場合に、強い痛みを和らげる方法として検討します。

急性期の痛みに対して行うことで、痛みの強さや続く期間に影響する可能性が示されていますが、効果には個人差があります。

硬膜外ブロック

硬膜外ブロックは、脊髄を包む膜の外側にある硬膜外腔へ局所麻酔薬などを注入し、痛みを伝える神経の働きを一時的に抑える治療です。

胸部、腰部、下肢などに強い帯状疱疹があり、薬物療法だけでは抑えにくい場合に、発疹の部位や全身状態を踏まえて実施を検討します。

急性期の痛みの緩和や帯状疱疹後神経痛への移行を抑える可能性が報告されていますが、治療の適応や実施回数は診察時に個別に判断します。

薬物療法(神経障害性疼痛治療薬)

帯状疱疹後神経痛が疑われる場合には、神経の過剰な興奮を抑える目的で、プレガバリンなどの神経障害性疼痛治療薬を用います。

痛みの性質や睡眠の状態などを踏まえ、三環系抗うつ薬やSNRI、一般的な鎮痛薬を組み合わせることもあります。

効果の出方や副作用には個人差があるため、診察のなかで症状の変化を確認しながら、薬の種類や用量を細かく調整することが重要です。

眠気やふらつき、口の渇きなどの副作用が現れることがあるため、服薬中に気になる変化があれば、自己判断で中止せず、処方を受けた医療機関へご相談ください。

その他の治療法

発疹が目や耳の周辺に及んでいる場合や、顔の動きに異常がみられる場合、痛み外来以外での対応(他院のご紹介)を検討することがあります。

眼科・耳鼻咽喉科と連携が必要な場合

角膜への炎症や視力への影響が疑われる場合は眼科、顔面神経麻痺や難聴・めまいを伴うラムゼイ・ハント症候群が疑われる場合は耳鼻咽喉科への受診をご案内することがあります。

帯状疱疹ワクチンによる予防

帯状疱疹は、水痘・帯状疱疹ウイルスに対する体の抵抗力が加齢や疲労によって低下した際に発症しやすいとされています。

ワクチン接種は、水痘・帯状疱疹ウイルスに対する免疫を高め、帯状疱疹の発症や重症化を予防する方法のひとつです。生ワクチンと組換えワクチンがあり、接種対象や接種回数、費用などが異なります。

帯状疱疹(帯状疱疹後神経痛)でよくあるご質問

Q1|帯状疱疹は人にうつりますか?

A1|帯状疱疹が他の人に帯状疱疹としてうつることはありません。ただし、水痘(水ぼうそう)にかかったことがなく、ワクチンも接種していない人にウイルスが伝わると水ぼうそうを発症する可能性があるため、すべての水疱がかさぶたになるまでは妊婦や乳幼児、免疫機能が低下している方との接触を避けましょう。

Q2|帯状疱疹後神経痛はどのくらいの期間続きますか?

A2|数か月で軽快する方もいれば、年単位で痛みが続く方もいます。経過には個人差がありますので、痛みが長引く場合は治療方針の見直しについてご相談ください。

Q3|神経ブロックは何回くらい受けるものですか?

A3|症状の程度や経過によって回数は異なります。痛みの変化を確認しながら、次回の処置の要否を診察時に判断します。

Q4|発疹が治ったのに痛みだけが続いている場合、受診が必要ですか?

A4|発疹が消えた後の痛みも治療の対象です。帯状疱疹後神経痛の可能性があるため、お早めにご相談ください。

Q5|痛み外来では帯状疱疹ワクチンの接種もできますか?

A5|ワクチン接種の可否や実施状況については、受診時にご確認ください。持病がある方は、事前に体調面についてもご相談いただけます。