難治性疼痛

難治性疼痛は、一般的な治療を行っても十分な改善が得られにくい痛みの総称です。

原因となる病気や異常が確認できる場合と、痛みを十分に説明できる所見が見つからない場合があり、病態には未解明な点も残されています。

はるみクリニックの痛み外来では、原因の特定が難しい痛みに対しても、神経ブロックや薬物療法などを選択肢として診療を行っています。

難治性疼痛に関する相談例

✔ ケガや手術のあと、治ったはずの部位に強い痛みが残る
✔ 触れたり、風が当たったりするだけで強く痛む
✔ 決まった時間帯に、目の奥がえぐられるような激しい痛みが起こる
✔ 痛む部位の皮膚の色や温度、汗のかき方に左右差がある
✔ 複数の医療機関を受診しても、痛みの原因がはっきりしない

難治性疼痛の主なタイプ

複合性局所疼痛症候群(CRPS)

骨折や捻挫、手術などのあと、きっかけとなった損傷から通常想定される程度や期間に比べ、不釣り合いなほど強い痛みが続く病態です。

皮膚の腫れや色調・温度の変化、発汗の異常、関節の動かしにくさを伴うことがあり、経過中に皮膚や毛、爪の変化、筋力低下などがみられる場合もあります。

群発頭痛

未治療の場合、片方の目の奥からこめかみにかけて、えぐられるような激しい痛みが15分〜3時間ほど続く頭痛です。

一定の期間、1日おきに1回〜1日8回ほどの頻度で発作を繰り返し、頭痛と同じ側に涙や鼻水、まぶたの腫れ・下垂などを伴うことがあります。

難治性疼痛の主な原因

神経の過敏化

損傷や炎症をきっかけに、脊髄や脳が痛みの信号を過剰に増幅して受け取るようになる現象です。

原因となったケガが治ったあとも、痛みの回路だけが働き続けてしまうことがあります。

自律神経系の関与

CRPSでは、血管運動や発汗を調節する自律神経系の異常が関与し、皮膚温や色調、発汗に左右差がみられることがあります。これらは、CRPSの診断で確認する特徴の一部です。

心理的な負担の蓄積

痛みが長引くこと自体がストレスとなり、不安や気分の落ち込みが痛みの感じ方をより強めてしまうことがあります。

痛みと心理面は、互いに影響し合う関係にあると考えられています。

難治性疼痛の診断・検査方法

難治性疼痛は単一の病名ではないため、症状や診察所見から、原因となる疾患・病態を個別に評価することが重要です。

問診では、痛みの発症状況や部位、持続時間、頻度、随伴症状などを確認し、診察では感覚や運動機能、皮膚温・色調、発汗、腫れの左右差などを評価します。

CRPSではブダペスト診断基準、群発頭痛では国際頭痛分類第3版(ICHD-3)など、病態ごとの診断基準を参考にし、必要に応じて画像検査や血液検査でほかの病気を除外します。

急激な麻痺や感覚の消失、発熱を伴う強い痛みがあるときは、緊急性の高い病気が隠れている可能性も考えられるため、専門医療機関での速やかな受診が必要です。

難治性疼痛の主な治療法(痛み外来)

薬物療法

CRPSなどの神経障害性疼痛では、痛みの性質や併存症に応じて、神経障害性疼痛に用いる薬剤、鎮痛薬、外用薬などを検討します。

群発頭痛の急性期には、スマトリプタン皮下注射や医療用の高濃度酸素吸入が用いられ、群発期には予防療法を組み合わせる場合があります。

副作用は薬剤によって異なり、眠気、ふらつき、便秘、胃腸症状などが現れることがあるため、必要に応じて少量から開始して体調に応じて調整することが大事です。

腎機能や肝機能、ほかに使用している薬によって選択できる薬剤が異なるため、自己判断での増量・中止は行わないでください。

神経ブロック

星状神経節ブロック

星状神経節ブロックは、頸部前方にある交感神経節の近くへ局所麻酔薬を注入する処置です。

上肢に生じたCRPSなど、交感神経の関与が考えられる痛みに対して検討されることがあります。

処置後は痛みや皮膚温、発汗、関節可動域などの変化を確認し、継続するかどうかを判断します。

後頭神経ブロック

後頭神経ブロックは、大後頭神経や小後頭神経の周囲に局所麻酔薬を注射し、後頭部から頸部にかけての痛みを抑える処置です。

後頭神経痛や頸部に由来する頭痛に用いられるほか、群発頭痛では薬物療法で十分な効果が得られない場合に、予防的な治療として検討されることがあります。

頭痛ではほかの病気との区別が必要となるため、発作の持続時間や頻度、随伴症状を確認して適応を決定します。

硬膜外ブロック

硬膜外ブロックは、脊髄を覆う硬膜の外側にある硬膜外腔へ薬剤を注入し、脊髄から出る神経に関わる痛みを抑える治療です。

CRPSに伴う強い四肢痛や、神経根の刺激による首・腰・下肢の痛みなどで検討されることがあります。

感染や出血、血圧低下などのリスクがあるため、全身状態と、抗凝固薬・抗血小板薬などの抗血栓薬を含む服薬内容を確認して実施します。

その他のブロック治療

末梢神経ブロック・交感神経節ブロック・関節内注射などは、痛む場所や痛みの発生機序に応じて選択されます。

診察所見に加え、画像検査、これまでの治療内容、基礎疾患を確認したうえで、処置が適するかを判断します。

神経ブロックで十分な変化がみられない場合は、処置を続けることに固執せず、薬物療法やリハビリテーションなどへ方針を変更します。

栄養療法

血液検査の結果で、貧血やたんぱく質不足などがみられる場合は、難治性疼痛に関係している可能性も考慮し、不足している栄養素や日常の食事内容についてご提案します。

食事だけで補いにくい場合や、検査結果・症状に応じて必要と判断した場合には、サプリメント(自由診療)をおすすめすることもあります。

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その他の治療法

CRPSでは、関節可動域や生活機能の維持・回復を目的に、痛みに配慮しながら段階的にリハビリテーションを行うことが治療の重要な柱です。

痛みが長引き、不安、気分の落ち込み、睡眠障害が重なる場合、心療内科や精神科の受診が望ましいケースがあるため、他院のご紹介も視野に入れます。

麻痺や急速な感覚低下、発熱を伴う強い痛み、急激な症状悪化がある場合は、専門医療機関での速やかな診察を優先してください。

難治性疼痛でよくあるご質問

Q1|難治性疼痛とはどのような痛みを指しますか?

A1|難治性疼痛は、原因となる異常の有無にかかわらず、一般的な治療で十分な改善が得られにくい痛みの総称です。CRPSや、治療に反応しにくい群発頭痛などが相談例としてあげられます。

Q2|CRPSは完治しますか?

A2|症状が軽減する方もいますが、完治を保証できる治療法はなく、痛みが長期化する場合もあります。早期に評価を受け、リハビリテーションや薬物療法などを組み合わせながら、症状と生活機能の改善を目指します。

Q3|群発頭痛の発作が起きたときはどうすればよいですか?

A3|発作中は市販の鎮痛薬が効きにくいため、医師の指示のもと、医療用の高濃度酸素吸入やスマトリプタン皮下注射などを行います。発作の時間帯や持続時間、回数、随伴症状を記録しておくと、診察時の判断材料になります。

Q4|神経ブロックは何回くらい必要ですか?

A4|神経ブロックに決められた回数はなく、痛みの種類や経過によって異なります。処置ごとに効果と副作用を評価し、継続の可否や実施間隔、ほかの治療へ変更する必要性を判断します。

Q5|他の医療機関で「原因不明」と言われましたが、どうすればよいですか?

A5|難治性疼痛は診断そのものに時間がかかることが少なくありません。これまでの経過や検査結果を確認しながら、痛みの特徴を改めて評価し、適した治療法を検討します。