胃もたれや食欲不振、下痢や便秘などの胃腸まわりの不調は、検査を受けても原因がはっきりしないことが少なくありません。
はるみクリニックの漢方外来では、症状そのものだけでなく体質や生活背景を含めて状態を捉え、漢方薬を中心とした治療方法をご案内しています。
胃腸の不調でみられる症状
✔ 食後に胃がもたれる、消化に時間がかかる
✔ 食欲がわかず、食事の量が減っている
✔ 下痢と便秘を繰り返す
✔ みぞおちのあたりに張りや痛みを感じる
✔ ストレスを感じると腹痛や下痢が出やすい
✔ 胃のむかつきやげっぷが続く
胃腸の不調を招きやすい状態
脾胃虚弱(気虚)
漢方医学で消化吸収を担うとされる「脾(ひ)」の働きが弱く、食べたものをうまくエネルギーに変えられないと考える状態です。
もともと胃腸が弱い方や、疲労が蓄積している方にみられやすい傾向があります。
こんな方は要注意
✔ 食が細く、少量ですぐお腹がいっぱいになる
✔ 食後に強い眠気やだるさが出る
✔ 顔色が優れず、疲れやすい
お腹や手足の冷え
お腹や手足の冷えが胃腸の働きを鈍らせているケースがあります。冷たい飲食物の摂りすぎや、体を冷やす生活習慣が背景にあることも考えられます。
こんな方は要注意
✔ 冷たいものを摂ると下痢をしやすい
✔ 朝方に腹痛や下痢が出やすい
✔ お腹や手足が冷たく感じる
ストレス・自律神経の乱れ
緊張や不安といった精神的な負荷が、胃腸の動きに影響することもあります。漢方では「肝」の働きの乱れが「脾」に及ぶ状態として捉えます。
こんな方は要注意
✔ 緊張する場面で腹痛や下痢が出る
✔ お腹の張りやげっぷが多い
✔ イライラや気分の落ち込みを伴う
水分代謝の乱れ
体内の水分代謝が滞り、胃のあたりに水分が停滞している状態です。むくみや天候による体調の変化を伴うことがあります。
こんな方は要注意
✔ 胃のあたりでチャポチャポと音がする
✔ 天候が崩れると胃腸の調子が悪くなる
✔ 全身のむくみを伴う
これらの体質は単独で現れるとは限らず、複数が重なっていることも珍しくありません。診察では、問診に加えて舌や脈、お腹の状態を確認しながら、体質の傾向を見立てていきます。
漢方外来における胃腸の不調への対応
漢方外来では、まず問診で症状の経過や食生活、睡眠、ストレスの状況などを詳しく伺います。
次に、舌の状態を確認する舌診や脈の状態をみる脈診、お腹に触れて状態を確認する腹診など、漢方医学に基づく診察を行い、体質に合わせて処方を検討する流れです。
症状が長引く場合や、体重減少・血便などの症状がある場合は、消化器内科(他院)での精査をおすすめすることがあります。
胃腸の不調の主な治療法
漢方治療
患者様お一人おひとりの体質や症状に応じて、処方を検討します。
脾胃虚弱タイプには六君子湯や人参湯、冷えの影響が強い場合には人参湯や附子理中湯、ストレスの関与が大きい場合には半夏瀉心湯や四逆散などが、選択肢としてあげられます。
服用開始後は、症状の変化や体調の経過を確認しながら、処方を見直していきます。
機能性ディスペプシアでは、六君子湯は治療選択肢の一つとして推奨されています。
機能性ディスペプシアとは
胃もたれや少量の食事で満腹になる早期満腹感、みぞおちの痛み・灼熱感などが続き、診察や必要な検査を行っても症状を説明できる病気が見つからない状態です。
栄養療法
血液検査の結果で、貧血やたんぱく質不足などがみられる場合は、胃腸の不調に関係している可能性も考慮し、不足している栄養素や日常の食事内容についてご提案します。
食事だけで補いにくい場合や、検査結果・症状に応じて必要と判断した場合には、サプリメント(自由診療)をおすすめすることもあります。
薬物療法
症状や原因に応じて、胃酸の分泌を抑える薬や胃の動きを整える薬、吐き気や腹痛をやわらげる薬などを使用します。
急な胃痛や吐き気、胃もたれなど、症状が強く生活に支障がある場合には、西洋薬による治療を先行し、早期の症状緩和を目指すことがあります。
機能性ディスペプシアでは、酸分泌抑制薬や消化管運動機能改善薬が初期治療の選択肢です。
生活指導
胃腸の不調を予防するための食事の摂り方や睡眠、体を冷やさない工夫など、具体的なアドバイスをお伝えします。
食事は脂っこいものや冷たい飲食物を控えめにし、よく噛んでゆっくり食べることが胃腸の負担軽減につながります。
就寝前の食事を避け、規則正しい生活リズムを保つことも、胃腸の健康を保つために重要な習慣です。
こんな場合は消化器内科・救急医療機関へ
胃腸の不調の背景には、胃・十二指腸潰瘍、胆石症、膵炎など、専門的な治療が必要な病気が隠れていることがあります。
次のような症状がある場合は、まず消化器内科(他院)の受診を検討しましょう。
✔ 胃痛・みぞおちの痛み、胃もたれ、胸やけが数日以上続く
✔ 少量の食事ですぐ満腹になる状態が続く(または食欲不振)
✔ 吐き気・嘔吐が続き、食事や水分を十分に摂れない
✔ 下痢や便秘が長く続く、あるいは急に便通の状態が変わった
✔ 原因不明の体重減少や貧血、強いだるさがある
✔ 飲み込みにくさや食べ物がつかえる感覚がある
✔ 健診で便潜血陽性、貧血、肝機能異常などを指摘された
吐血・黒い便・血便、激しい腹痛、冷や汗やふらつき、高熱を伴う腹痛がある場合は、早急に救急医療機関を受診してください。
胃腸の不調でよくあるご質問
Q1|胃腸の不調で漢方外来を受診する目安はありますか?
A1|検査を受けても原因がはっきりしない胃腸の不調や、症状を繰り返している場合は、漢方外来でのご相談をおすすめします。ストレスや冷え、疲労感など、胃腸以外の症状を伴う場合もご相談ください。
Q2|漢方薬と胃腸薬は一緒に服用できますか?
A2|組み合わせによっては併用が可能な場合があります。自己判断で市販薬と併用せず、診察の際に服用中のお薬をお伝えください。
Q3|漢方薬はどのくらいの期間で変化を感じますか?
A3|体質や症状によって経過は異なります。急性の症状では数日で変化を感じる場合もあれば、慢性的な体質の見直しには一定期間の継続が必要になる場合もあります。
Q4|ストレスが原因の胃腸の不調にも漢方薬は選択肢になりますか?
A4|漢方医学では、ストレスによって「気」の巡りが滞ると、胃腸の状態にも影響すると考えます。緊張や不安を伴う症状には、気の巡りを整える処方を検討することがあります。
Q5|検査で異常がないと言われましたが、それでも相談できますか?
A5|検査で明確な異常が見つからない場合でも、体質や生活背景を踏まえた治療方法をご案内できます。長引く不調でお困りの場合は、お気軽にご相談ください。