「坐骨神経痛」は特定の病名ではなく、腰からお尻・太もも・ふくらはぎ・足先にかけて広がる痛みやしびれの総称です。
長時間の歩行や立ち仕事、前かがみの姿勢がきっかけとなり、症状が強まる方も少なくありません。
はるみクリニックでは、しびれや痛みがある部分や経過を丁寧にお伺いし、原因疾患を踏まえた薬物療法、理学療法、トリガーポイント注射、神経ブロックなどをご提案しています。
坐骨神経痛が疑われる症状
✔ 長く座っていると、お尻から脚にかけてしびれが強くなる
✔ 前かがみになったり、重い荷物を持ったりすると足に痛みが響く
✔ 歩き続けると足がしびれ、少し休むと再び歩けるようになる
✔ 咳やくしゃみをした瞬間、腰から脚に痛みが走る
✔ 足の感覚が鈍くなったり、力が入りにくくなったりする
坐骨神経の主な神経機能
運動神経
太ももの裏側や膝から下、足指などを動かす筋肉へ指令を伝える神経です。障害を受けると、足に力が入りにくくなることがあります。
知覚神経
主に膝から下の皮膚で感じた痛みや温度、触覚などの情報を脳へ伝える神経です。障害を受けると、痛みやしびれ、感覚の鈍さなどが現れることがあります
自律神経
血管の収縮や汗腺の働きを調整する神経です。障害を受けると、足の冷感やむくみが出ることがあります。
坐骨神経痛の主な原因
腰椎椎間板ヘルニアによる圧迫
椎間板の中心にある髄核が外側へ飛び出し、近くを通る神経根を圧迫すると、お尻から脚にかけての痛みやしびれが引き起こされることがあります。
こんな人は要注意
✔ 前かがみの姿勢で重い荷物を持ち上げる作業をしている人
✔ 長時間のデスクワークで座りっぱなしの姿勢が続いている人
✔ スポーツや重労働で腰をひねる動作を繰り返している人
腰部脊柱管狭窄症による圧迫
加齢に伴う骨や靭帯の変化によって狭くなった脊柱管が神経を圧迫し、歩行時を中心に足の痛みやしびれとして現れます。
こんな人は要注意
✔ 50歳を過ぎてから、足のしびれや違和感を感じ始めた人
✔ しばらく歩くと足が痛み、前かがみで休むと楽になる人
✔ 反り腰の姿勢が習慣になっている人
梨状筋症候群による圧迫
坐骨神経はお尻の深部にある梨状筋のすぐそばを通っており、この筋肉がこわばると神経が圧迫され、お尻から脚にかけての痛みやしびれにつながります。
こんな人は要注意
✔ 長時間、椅子に座ったままの姿勢を続けている人
✔ ランニングや自転車などお尻の筋肉を使う運動をしている人
✔ 硬い財布などを尻ポケットに入れて座る習慣がある人
その他の原因疾患
腰椎すべり症や仙腸関節の炎症などが背景にあるケースもあり、原因の特定には問診と画像検査を組み合わせた評価が必要です。
坐骨神経痛の診断・検査方法
問診では、痛みが出る部位や動作との関連、しびれの範囲などを詳しく伺います。
続いて下肢の筋力や感覚、反射の状態を確認し、神経の障害部位を絞り込みます。
必要に応じてMRI検査を実施し、椎間板や脊柱管の状態、神経根への圧迫の程度を確認します。骨の変形を評価する際にはレントゲン検査を併用することもあります。
排尿・排便の異常や急激な筋力低下がみられる場合は、緊急性の高い病態が隠れている可能性があるため、速やかな精査が必要です。
坐骨神経痛の主な治療法
薬物療法
坐骨神経痛では、痛みの強さや性質に合わせて、消炎鎮痛薬や神経障害性疼痛治療薬を組み合わせて使います。
痛みの程度や全身状態に応じて、NSAIDsやアセトアミノフェンなどを使用。しびれや電撃痛などの神経障害性疼痛が目立つ場合には、適応や副作用を考慮しながらプレガバリンなどの使用を検討します。
慢性的な痛みに対しては、症状や原因疾患、薬剤ごとの適応を確認したうえで、SNRIなどを使用することもあります。
薬によっては眠気、ふらつき、胃の不快感などが出る場合があるため、服薬中の変化は診察時にそのままお話しください。
理学療法
理学療法では、「キセノン光線療法」という機器を用いて、腰やお尻から脚にかけての患部に光を照射する治療を行っています。
可視光線から近赤外線にかけて「400〜1100nm程度」の波長を持つレーザー光であり、皮膚の深部まで届きやすいのが特長です。
温熱作用による血流改善や痛み・炎症の緩和を目的とした治療で、症状に応じて薬物療法や神経ブロックと組み合わせることもあります。
トリガーポイント注射
トリガーポイント注射は、腰やお尻まわりの筋肉にある、押すと強い痛みが出る部位(トリガーポイント)へ局所麻酔薬などを注射し、筋肉の緊張と痛みを和らげる治療です。
坐骨神経痛に腰・臀部の筋肉のこわばりや圧痛が重なっている場合に、症状に応じて検討します。
痛みが軽くなることで、歩行や姿勢の改善、ストレッチやリハビリテーションに取り組みやすくなることが期待されます。
注射の効果や持続期間には個人差があるため、症状の変化や注射部位の状態を確認しながら、治療の頻度や継続を判断します。
硬膜外ブロック
硬膜外ブロックは、脊髄を包む硬膜の外側にある硬膜外腔へ局所麻酔薬などを注入し、痛みの伝達を一時的に抑える治療です。
腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症に伴う坐骨神経痛で、下肢に広がる痛みが強い場合に検討されます。
処置後は、しばらくベッド上で安静が必要です。足のしびれや痛みの変化を確認しながら日常の動きに戻していきます。
その他の治療法
排尿・排便障害や会陰部の感覚低下、急激な筋力低下がみられる場合は、馬尾症候群など緊急性の高い病態が疑われます。
このような場合や、保存療法を続けても症状が改善しない場合には、手術などに対応する医療機関をご紹介します。
手術療法(椎間板摘出術など)
手術療法は、神経の圧迫が強く、保存療法での改善が見込みにくい場合に選択肢として検討されます。
椎間板を摘出するラブ法や顕微鏡下手術、内視鏡を用いた低侵襲な方法などがあり、術式によって入院期間や体への負担が異なります。
治療に対応する医療機関にて、医師との相談を踏まえたうえで方針を決めることになります。
椎間板内酵素注入療法
椎間板内酵素注入療法は、椎間板の中に酵素を注入し、髄核の体積を減らすことで神経への圧迫をやわらげる治療です。
適応となる椎間板ヘルニアの状態には条件があり、事前の画像評価によって可否が判断されます。
坐骨神経痛でよくあるご質問
Q1|坐骨神経痛と腰痛はどう違いますか?
A1|腰痛は腰そのものの痛みを指すのに対して、坐骨神経痛はお尻から脚にかけて痛みやしびれが広がる点が異なります。腰痛と脚の症状が同時に起こることも珍しくありません。
Q2|坐骨神経痛は自然に治りますか?
A2|原因によっては自然に症状が軽減することもありますが、すべての坐骨神経痛が自然に治るとは限りません。痛みが続く場合や、しびれ・脱力を伴う場合は、原因疾患を確認するため早めに受診してください。
Q3|神経ブロックはどのくらいの頻度で受けられますか?
A3|症状や薬剤の種類によって間隔は異なります。効果の持続期間や体調を確認しながら、次回の処置時期を診察時に相談してください。
Q4|坐骨神経痛を放置するとどうなりますか?
A4|痛みやしびれが強まり、歩行や日常動作に支障が出ることがあります。まれに足の筋力低下や排尿障害を伴う場合もあるため、症状が続くときは早めの受診を検討しましょう。