「朝起きると手指がこわばる」
「膝や肩など、あちこちの関節が痛む」
「階段の上り下りがつらい」
こんな症状にお悩みですか?
これまで関節のトラブルがなかったのに症状が現れ、「年齢のせい?」「リウマチなどの病気では?」と不安になってしまうものです。
更年期には、女性ホルモン(エストロゲン)の減少などに伴い、関節の痛みやこわばりが現れることがあります。
一方、関節痛は変形性関節症や関節リウマチなどでも起こるため、更年期だけが原因とは限らず、原因を確かめたうえで適切な治療法を検討する必要があります。
この記事では、更年期に関節痛が起こる原因や痛みやすい部位、ほかの病気との違い、対処法、検査・治療について解説します。
更年期の関節痛とは?

更年期とは、閉経をはさんだ前後5年ずつ、合わせて約10年間のことです。
日本人女性の閉経の平均年齢は50歳前後とされ、多くの方が40代半ばから50代半ばにこの時期を迎えます。
更年期症状としてはほてりや発汗がよく知られていますが、そのほかにも、関節や筋肉の痛み、手指のこわばりといった運動器の不調も代表的な症状の一つです。
症状と特徴
更年期の関節痛は、関節が鳴る、違和感を感じるといった小さな症状から始まり、少しずつ痛みやこわばり、動かしにくさへと進むことが多いです。
朝起きたときに指がこわばる、ヒールが履けない、かかとが痛くて歩きにくい、物をしっかり握れず落としてしまうなど、日常の何気ない動作で不調に気づく方が多くみられます。
このような更年期に見られる手指のトラブルは「メノポハンド」と呼ばれています。
更年期では、関節痛を含め、以下のようなさまざまな症状がみられます。
| 区分 | 主な症状 |
|---|---|
| 整形外科的症状 | 関節痛、手指のこわばり、手足のしびれ、肩こり、腰痛・背部痛、筋肉痛、筋力の低下 |
| 血管運動・自律神経症状 | ほてり・のぼせ、急な発汗(ホットフラッシュ)、動悸、めまい、頭痛、手足の冷え |
| 精神神経症状 | イライラ、不安感、気分の落ち込み、不眠、物忘れ、集中力の低下 |
| 身体・消化器症状など | 疲れやすさ、食欲不振、胃もたれ、皮膚や粘膜の乾燥、頻尿・尿もれ |
痛みが起こりやすい部位
更年期の関節痛は全身のさまざまな関節に起こりますが、手指や手首、膝、肩、腰などに痛みが集中しやすい傾向にあります。
特に、膝や股関節など体重を支える関節は、ホルモンの変化に加えて筋力の低下や体重の増加の影響も受けやすい部位です。
更年期の関節痛の原因

更年期の関節痛は、女性ホルモンの減少と加齢による体の変化が重なって起こると考えられています。
ここでは、主な原因として挙げられる「女性ホルモンの減少」と「加齢」について、それぞれ解説します。
女性ホルモンの減少
エストロゲンは骨や血管、皮膚、関節など全身の健康維持を支えているホルモンです。
関節の軟骨や滑膜、靱帯などにはエストロゲンを受け取る「受容体」があり、炎症を抑えたり組織の柔軟性を保ったりする働きに関わっています。
しかし、更年期に伴ってエストロゲンが減少すると、この働きが弱まり、炎症が起きやすくなって痛みやこわばりが生じると考えられています。
ただし、ホルモンの低下と関節症状の関係については、現時点ですべてが解明されているわけではありません。
加齢
加齢も、更年期の関節痛に影響していると考えられています。
年齢を重ねると、関節のクッションとなる軟骨の弾力や水分量が低下し、負担がかかりやすくなります。
また、加齢とともに関節を支える筋力が衰えることも影響しています。
生活習慣
日頃の生活習慣も、関節の痛みを悪化させる要因になることがあります。
例えば、体重が増えると膝や股関節などの関節にかかる負担が大きくなり、運動不足による筋力低下も関節への負担につながります。
また、デスクワークなどで長時間同じ姿勢を続けることも、関節に負担をかける要因です。
更年期の関節痛とリウマチの違い

更年期に関節の痛みを感じたとき、多くの方が心配されるのが「関節リウマチ」です。
関節リウマチとは、免疫の異常によって関節の内側にある滑膜に炎症が起こり、進行すると軟骨や骨が壊れていく病気で、女性に多く、30〜50代で発症しやすいとされています。
見分け方のポイントとしては、以下のようなものがあります。
| 比較のポイント | 更年期の関節痛 | 関節リウマチ |
|---|---|---|
| 主な原因 | エストロゲンの減少、加齢 | 免疫の異常(自己免疫疾患) |
| 朝のこわばり | 数分〜30分程度で和らぐことが多い | 長く続く(1時間以上は要注意) |
| 腫れ方 | 目立つ腫れは少ない | 関節が紡錘形に腫れ、熱感を伴うことがある |
| 症状の出方 | 日によって波がある | 複数の関節に左右対称に出やすい |
ただし、表の内容はあくまで目安であり、自己判断で見分けることはできません。
リウマチは、発症後早い段階で関節破壊が急速に進行するため、早期発見・早期治療が非常に重要です。
気になる症状があれば早めに検査を受けましょう。
更年期に注意したい関節痛や手足の不調を起こす病気

40〜50代は、更年期のホルモンの変化による関節痛だけでなく、変形性関節症や膠原病といった病気が現れやすい時期でもあります。
これらは見た目や痛み方が更年期の関節痛と似ているため、「更年期だから仕方ない」と思い込み、受診が遅れてしまうケースも珍しくありません。
更年期世代の女性が注意したい病気には、以下のようなものがあります。
| 病気 | 主な症状・特徴 |
|---|---|
| 変形性関節症 | 関節軟骨の変性などによって、関節に痛みや腫れ、動かしにくさが生じる。膝や股関節、手指などさまざまな関節に起こる |
| ヘバーデン結節 | 指の第1関節(DIP関節)に痛みや腫れ、変形などが現れる。40歳代以降の女性に多い |
| ブシャール結節 | 指の第2関節(PIP関節)に痛みや腫れ、変形などが生じる。関節リウマチとの鑑別が必要になる場合がある |
| 母指CM関節症 | 親指の付け根に痛みや腫れが生じる。物をつまむ、ビンのふたを開けるなどの動作で痛みやすい |
| 手根管症候群 | 正中神経が手首で圧迫され、親指から薬指の親指側を中心にしびれや痛みが現れる。更年期の女性にも多い |
| 四十肩・五十肩(肩関節周囲炎) | 肩の痛みや動かしにくさが現れる。腕を上げる、後ろに回すなどの動作が難しくなることがある |
| 膠原病(関節リウマチなど) | 関節の腫れや痛み、朝のこわばりなどが現れる。進行すると関節の変形や機能障害につながることがある |
更年期の関節痛の対処法・予防法

更年期の関節痛は、毎日の過ごし方を見直すことで症状を和らげたり、悪化を防いだりできる場合があります。
ただし、関節が赤く腫れている、痛みが日に日に強くなるといった場合は、セルフケアだけで様子を見ずに整形外科など医療機関に相談してください。
栄養のバランスのいい食事を心がける
関節や骨、筋肉を健やかに保つには、特定の食品に偏らず、必要な栄養素をバランスよく摂ることが基本です。
閉経後は骨密度が低下しやすくなるため、乳製品や小魚に多いカルシウムに加え、その吸収を助けるビタミンD、骨づくりに関わるビタミンKを意識して摂りましょう。
また、豆腐や納豆、豆乳などの大豆製品に含まれる大豆イソフラボンは、エストロゲンに似た働きをもつ成分として知られています。
適度な運動をする
適度な運動は、関節を支える筋力の維持や血行の促進に役立ち、気分転換や睡眠の質の向上にもつながります。
膝や股関節に不安がある方には、ウォーキングのほか、水中歩行や自転車こぎなど関節への負担が少ない運動がおすすめです。
体を温める
更年期の関節痛は、冷えによって血流が悪くなると悪化しやすい傾向があります。
日頃からシャワーだけで済ませず、ぬるめのお湯にゆっくりつかり、手指の先まで温めるといいでしょう。
入浴で体が温まると血行が促され、こわばった関節や筋肉がほぐれやすくなります。
サプリメント(エクオール)を摂取する
エクオールは、エストロゲンに似た働きをもつことが知られている成分です。
大豆イソフラボンの一種「ダイゼイン」が腸内細菌によって変換されてできますが、体内でエクオールを作れる人は日本人の約半数とされています。
エクオールの摂取で手指の変形性関節症の痛みや腫れが改善したとの報告もあり、エクオールをサプリメントで補う方法が検討されることがあります。
更年期の関節痛の治療法

整形外科では、まずは痛みの原因を見極めるため、問診や診察、必要に応じた検査(血液検査・レントゲン検査など)を行い、変形性関節症や関節リウマチなどの病気がないかを確認します。
そのうえで、薬物療法や漢方治療、注射療法、理学療法、生活指導などを組み合わせ、痛みの軽減と日常生活の動きやすさの維持を目指します。
主な治療法には、以下のようなものがあります。
| 治療法 | 主な内容 |
|---|---|
| 薬物療法 | 消炎鎮痛薬、外用薬、神経の痛みを抑える薬など |
| 漢方治療 | 加味逍遙散、当帰芍薬散、桂枝茯苓丸など |
| 理学療法 | キセノン光線治療器などを用いた温熱療法 |
| 栄養療法 | 血液検査をもとにした食事の提案、サプリメント(自由診療) |
| 生活指導 | 運動・睡眠・食事・ストレス対策の助言 |
| トリガーポイント注射 | 筋肉の圧痛点に局所麻酔薬などを注入 |
| 神経ブロック(保険適応外) | 星状神経節ブロック、肩甲上神経ブロック |
| その他 | 必要に応じた専門医療機関の紹介(ホルモン補充療法など) |
更年期の関節痛ですぐに受診が必要なケースは?

更年期の関節痛の多くは緩やかに現れますが、なかには早急に治療が必要な病気が隠れているケースもあります。
次のような症状がある場合は、「更年期だから仕方がない」と様子を見ずに、できるだけ早く医療機関を受診してください。
- 関節が急に赤く腫れ、強い熱感や激しい痛みがある
- 発熱や全身のだるさを伴う関節痛が続いている
- 痛みで歩けない、膝や股関節に体重をかけられない
- 朝のこわばりが長く続き、複数の関節が左右対称に腫れている
- 腰の痛みに加えて、脚のしびれや力の入りにくさがある
- 転倒やケガの後から痛みが強くなってきた
また、閉経後は骨密度が低下しやすく、転倒などがなくても背骨の圧迫骨折が起こる可能性があるため注意が必要です。
更年期の関節痛についてのよくある質問

ここでは、更年期の関節痛についてのよくある質問を紹介します。
Q:更年期の関節痛は放っておけば自然に治りますか?
A:更年期に伴う症状は女性ホルモンの変動が落ち着くにつれて軽くなる場合がありますが、関節痛が自然に治るかどうかは、原因によって異なります。
メノポハンドが進行すると、3年〜10年ほどで変形性関節症や手根管症候群といった手指の疾患につながることもあり、「年齢や更年期のせい」と放置せず、整形外科などで原因を確認しましょう。
Q:更年期の関節痛は何科を受診したらいいですか?
A:関節の痛みや腫れ、変形、動かしにくさが主な症状であれば、まずは整形外科の受診がおすすめです。
画像検査などで関節そのものに病気がないかを確認でき、必要に応じてリウマチ科など専門の診療科への紹介も可能です。
Q:更年期の関節痛はいつまで続きますか?
A:更年期の関節痛が続く期間は個人差が大きく、一概にはいえません。
症状が軽い方もいれば、症状が長く続く方もいます。
へバーデン結節などの変形性関節症に移行すると変形が残ってしまうケースもあるため、症状が長引いている場合や、日常生活に支障が出ている場合は、早めに相談しましょう。
まとめ
更年期の関節痛は、エストロゲンの減少と加齢による変化が重なって起こると考えられており、手指のほか、膝・肩・手首など全身のさまざまな関節に症状が現れます。
一方で、変形性関節症や関節リウマチなど、更年期の関節痛とよく似た病気が隠れていることもあるため、更年期を理由に我慢するのではなく、原因を確かめたうえで適切な治療とセルフケアを続けることが大切です。
八潮駅から徒歩1分の「はるみクリニック」では、更年期に伴う関節痛に対して、一人ひとりの症状に合わせた治療をご提案しています。
「更年期になってから関節が痛む」「手指のこわばりが続いている」「どこを受診すればよいかわからない」とお悩みの方は、症状を我慢せず、はるみクリニックへご相談ください。