帯状疱疹による痛みが生じている方で、「いつまで我慢すればいいのか」「どの診療科で治療ができるのか」と悩んでいませんか。
皮膚の症状とは別に神経に沿って痛みが生じることがあり、数週間経過しても治らない場合は、痛み外来などの診療科での評価と治療が必要になります。
この記事では、帯状疱疹で痛みが起こる仕組みや経過、状態に応じた対処法、帯状疱疹後神経痛が残るケースなどを詳しく紹介します。
帯状疱疹の特徴

帯状疱疹は、過去に水ぼうそうにかかった際に、体内へ潜伏した水痘・帯状疱疹ウイルスが再び活性化することで起こる病気です。
神経に沿って、体の左右どちらか片側に痛みやピリピリ感を伴う赤い発疹・水ぶくれが帯状に現れるのが典型的な特徴です。
皮膚症状が治った後も痛みが残る帯状疱疹後神経痛を生じることがあるため、疑わしい症状があれば早めに医療機関へ相談しましょう。
帯状疱疹で痛みが起こる仕組み

帯状疱疹による痛みは、皮膚の炎症だけでなく神経そのものが影響を受けることで生じます。
ここでは、痛みが生じる仕組みを詳しく解説します。
神経に沿って痛みが生じる理由
水痘・帯状疱疹ウイルスは、体内の神経節と呼ばれる部分に長期間潜んでいます。
免疫の働きが弱くなったタイミングでウイルスが再び活動を始めると、神経を伝って炎症が広がり、その神経が支配している皮膚の領域に痛みや発疹が生じます。
発疹の範囲が神経の走行に沿って帯状になるのは、この神経経路に沿ってウイルスが広がるためです。
痛みの強さは、ウイルスによる神経のダメージの程度と関係していると考えられています。
発疹前から痛みだけが出るケース
発疹が現れる数日前から、皮膚の下でピリピリとした違和感やチクチクとした痛みだけが先に出ることがあります。
この段階では見た目の変化がないため、筋肉痛や神経痛など別の症状と区別がつきにくい場合も少なくありません。数日後に赤みや発疹が現れて初めて、帯状疱疹だったと分かるケースもあります。
痛みだけが先行している時期は、経過を見ながら発疹の有無を確認することが重要です。
帯状疱疹の発症から治癒までの経過

帯状疱疹の痛みは一定ではなく、症状の進行段階に応じて感じ方が変化していく点もおさえておきましょう。
発疹前の違和感が出る時期
皮膚の違和感やピリピリとした痛みは、発疹が出る数日〜1週間ほど前から現れることがあります。
この時期の痛みは軽度なことが多く、日常生活に大きな支障が出ないケースも見られます。
ただし、人によってはこの段階からすでに強い痛みを感じる場合もあるため、違和感が続く場合は経過に注意しましょう。
発疹や水ぶくれが広がる時期
違和感が出てから数日すると、赤みを帯びた発疹が帯状に広がり始めます。
発疹の上には次第に水ぶくれができ、この時期に痛みが強まると感じる方が多いです。
水ぶくれは1週間ほどかけて広がり、その後、破れて皮膚がただれた状態になることもあります。
この段階では、炎症がもっとも活発な時期にあたるため、痛みの変化を特に感じやすい時期といえます。
水ぶくれがかさぶたに変わる時期
水ぶくれが破れると、皮膚は徐々にかさぶたへと変化していきます。
かさぶたができ始める頃には、皮膚の炎症自体は落ち着きに向かっていることが多いです。一方で、皮膚の見た目が回復に向かっていても、痛みだけが残るケースがあります。
かさぶたが完全に取れるまでには、発症から3週間〜1か月ほどかかるとされています。
帯状疱疹の痛みがもっとも強くなる時期の目安

帯状疱疹による痛みの強さは、経過を通じて一定ではなく、特定の時期に強まりやすい傾向があります。
発疹出現からのピークの目安
痛みがもっとも強くなりやすいとされるのは、発疹が出てから7日〜10日前後です。
水ぶくれが広がる段階と重なることが多く、炎症の広がりと痛みの強さが連動していると考えられます。衣服に触れるだけで痛みを感じたり、夜間に痛みで目が覚めたりするケースもこの時期に見られやすいです。
痛みのピークを過ぎると、皮膚の回復とともに痛みも徐々に落ち着いていく経過をたどるのが一般的です。
治療開始後に痛みが和らぐ日数
抗ウイルス薬による治療を始めても、すぐに痛みが軽くなるわけではありません。
薬がウイルスの活動を抑えるまでに2、3日ほどかかるとされ、痛みや皮膚症状の改善はその後から実感し始めるケースが多いです。
治療開始のタイミングが早いほど、この後の痛みの経過も緩やかになりやすいという考え方もあります。
治療を始めてすぐに効果を感じられなくても、数日単位で経過を見ていく姿勢が大切です。
帯状疱疹による急性期の痛みが落ち着くまでの期間

帯状疱疹による発疹や水ぶくれに伴う痛みがいつまで続くのか、目安を知っておくとその後の見通しが立てやすくなります。
一般的な痛みの持続期間の目安
皮膚症状に伴う痛みは、個人差はあるものの3週間〜1か月ほどで落ち着いてくるケースが一般的です。
これは、発疹が出始めてからかさぶたが取れるまでの経過とおおむね重なり、治療が早い段階で始まった場合は、より短い期間で痛みが軽減していくこともあります。
逆に治療開始が遅れた場合は、同じ期間を経ても痛みが十分に和らがないまま次の段階に移行することもあります。
個人差が生じやすい要因
痛みの持続期間には、年齢や発症時の免疫の状態によって差が出やすいという傾向があります。
高齢であるほど、また発疹が出た当初の痛みが強いほど、痛みが長引きやすいとされています。また、発症した部位や範囲の広さも、痛みの経過に影響する要因の一つに挙げられます。
同じ帯状疱疹であっても、経過には一人ひとり違いがあることを踏まえておきましょう。
帯状疱疹後神経痛が残るケース

かさぶたが取れて皮膚の見た目が回復した後も、痛みだけが続くことがあります。
ここでは、帯状疱疹後神経痛と呼ばれる状態の特徴や、なりやすい傾向を紹介します。
帯状疱疹後神経痛が起こる仕組み
帯状疱疹の炎症によって神経が深く傷ついた場合、皮膚の症状が治まった後もその神経からの痛みの信号が続くことがあります。
この状態を帯状疱疹後神経痛と呼び、刺すような痛みや灼熱感として感じられることもあります。
皮膚の見た目には異常がないため、周囲から痛みの深刻さが伝わりにくい点も特徴です。
帯状疱疹後神経痛の痛みが数週間で治まる場合もあれば、数か月から年単位で続く場合もあり、経過には幅があります。
帯状疱疹後神経痛になりやすい傾向
50歳以上の方は、帯状疱疹後神経痛に移行する割合が比較的高いとされています。
また、発疹が出た当初の痛みが強かった方や、治療の開始が遅れた方も、帯状疱疹後神経痛に移行しやすい傾向です。
顔面や頭部に発症した場合も、神経への影響が大きくなりやすく、痛みが残りやすいという指摘があります。
こうした傾向に当てはまる場合は、痛みの経過を漫然と様子見するのではなく、帯状疱疹後神経痛への移行を意識しながら変化を追っておくことが求められます。
帯状疱疹の痛みの経過に応じた過ごし方の工夫

ここからは、帯状疱疹が現れた直後や痛みが生じている時期に、どのように過ごすべきか注意点を紹介します。
急性期に控えたい行動
発疹や水ぶくれが出ている時期は、患部に負担をかけない過ごし方を心がけましょう。
長時間の外出や激しい運動は体力を消耗させ、回復を遅らせる要因のひとつとなるため、なるべく避けましょう。
患部を冷やすと血管が収縮し、痛みを感じやすくなるとされているため、冷やさないよう注意が必要です。
飲酒についても、血管を広げて炎症に影響する可能性があるため、症状が落ち着くまでは控えておく方が無難です。
痛みの変化を記録しておく
痛みの強さや感じ方は日によって変化するため、簡単な記録をつけておくと経過を把握しやすくなります。
例えば、「ピリピリ」「ズキズキ」といった痛みの種類や、強く感じる時間帯をメモしておきましょう。あわせて、発疹の状態を写真で残しておくと、皮膚の見た目の変化と痛みの経過を照らし合わせやすくなります。
こうした記録は、痛みが長引いた際に医療機関へ経過を伝える場面で役立ちます。
いつまでも続く帯状疱疹の痛みの治療法

帯状疱疹の痛みは、発疹がある急性期の痛みと、皮膚症状が治った後も続く帯状疱疹後神経痛で治療の考え方が異なります。
ここでは、一般的な治療の選択肢を紹介します。
急性期の抗ウイルス薬治療
帯状疱疹の急性期には、水痘・帯状疱疹ウイルスの増殖を抑える抗ウイルス薬を使用します。
一般に、発症から72時間以内に治療を開始することが推奨され、皮膚症状や急性期の痛みを軽減することが期待されます。
72時間を過ぎていても新しい発疹が出ている場合や症状が強い場合、免疫機能が低下している場合には、医師が治療の必要性を判断します。
使用する薬剤や投与方法は、症状の重さ、年齢、腎機能、持病、内服薬などを踏まえ、医師が個別に選択する形です。
薬物療法(神経障害性疼痛治療薬)
帯状疱疹後神経痛では、傷ついた神経の過敏な状態が痛みの一因となるため、通常の鎮痛薬だけでは十分に抑えられないことがあります。
そこで検討されるのが、プレガバリン、ガバペンチン、ミロガバリンなどの薬剤や、三環系抗うつ薬など、神経の痛みに作用する薬の処方です。
ふらつき、むくみ、口の渇きなどの副作用がみられることがあるため、少量から開始し、痛みの軽減と体調を確認しながら用量を調整します。
痛みが長引く場合や治療による改善が不十分な場合は、痛み外来などの専門科と連携し、神経ブロックを含む治療を検討することもあります。
神経ブロック注射
神経ブロック注射は、局所麻酔薬などを用いて痛みを伝える神経や交感神経に働きかけ、帯状疱疹に伴う強い痛みの軽減を目指します。
星状神経節ブロックは、首の前方にある星状神経節の周辺へ薬剤を注射する方法で、顔・頭部・首・上胸部などに生じた帯状疱疹関連痛に対して検討されることがあります。
硬膜外ブロックは背骨の硬膜外腔に薬剤を注入する方法です。胸部・腹部・背中・腰部など、広い範囲に及ぶ痛みや強い痛みに対して検討されます。
効果や適応には個人差があり、出血・感染・血圧低下・神経損傷などのリスクもあります。
症状や発症部位、基礎疾患、服薬状況を確認したうえで、専門的な知識を持つ医師が実施の可否を判断します。
帯状疱疹の痛みが長引いているときの相談先

かさぶたが取れた後も痛みが続く場合、それまでの経過に応じて相談先を検討しましょう。
皮膚科での診療を継続する
すでに皮膚科などで帯状疱疹の治療を受けている場合は、まず担当医へ痛みの経過を具体的に伝え、治療を継続することが基本です。
皮疹が消失しても、いつから・どの部位に・どのような痛みが残っているか、睡眠や仕事、家事などへの影響を共有すると、痛みの性質や治療の見直しを評価しやすくなります。
持病などで複数の診療科に通院している場合は、使用中の薬や痛みの経過を各医療機関で共有し、薬の重複や副作用にも配慮しながら治療方針を検討することが重要です。
痛みだけが残る場合は痛み外来へ
皮膚症状が改善した後も焼けるような痛み、電気が走るような痛み、触れただけで痛む状態が続く場合は、神経障害性疼痛への移行も考えられます。
そこで相談先の選択肢にあがるのが、痛み外来(ペインクリニック)です。
痛み外来では、神経障害性疼痛治療薬による薬物療法に加え、症状や部位に応じて神経ブロックなどの治療を検討し、痛みと生活機能の改善を目指します。
痛みの強さや持続期間、睡眠障害や日常生活への支障、治療への反応を定期的に確認し、薬の調整や追加治療の必要性を判断することが一般的です。
数週間たっても改善が乏しい、痛みで眠れない・日常生活に支障がある、あるいは治療方針に迷う場合は、痛み外来へ早めに相談しましょう。
まとめ
帯状疱疹の痛みは、発疹出現から7日〜10日ほどでピークを迎え、多くは3週間から1か月ほどで落ち着いていく経過をたどります。
皮膚症状が治った後も痛みだけが残る場合、これまでの症状の変化を整理し、皮膚科や痛み外来など状況に応じた相談先を検討してみてください。
「はるみクリニック」は、帯状疱疹に伴う急性期の痛みから、皮膚症状が落ち着いた後も続く帯状疱疹後神経痛まで、痛みを専門的に診療するペインクリニックです。
痛みが生じた時期や部位、強さ、日常生活への影響、これまでの治療経過を丁寧に確認し、抗ウイルス薬による初期治療や神経ブロック、神経障害性疼痛に対する薬物療法などを組み合わせた治療をご提案します。
「発疹が出て痛みがあるが、どこへ相談すればよいかわからない」とお悩みの方は、お早めに当院へご相談ください。