朝起きたときに「首が痛い」「首が固まって動かせない」など、寝違えを経験したことがある方は少なくないでしょう。
寝違えの多くは時間の経過とともに改善しますが、痛みがある状態で無理に首を動かしたり、強く揉んだりすると症状が悪化する可能性があります。
この記事では、寝違えたときに自分でできる対処法やストレッチ、整形外科での治療、受診したほうがよい症状について解説します。
「早く治したいけれど、動かして大丈夫?」「ストレッチやマッサージをしてもいいの?」と迷っている方は参考にしてみてください。
寝違えとは?どんな状態?

寝違えた経験はあっても、「寝違え」がどんな状態かは、意外と知らない方が多いのではないでしょうか。
寝違えは首から肩にかけて痛みが生じ、首を動かしにくくなる状態です。外傷(ケガ)ではなく軽い病気と考えられています。
ここでは、寝違えの症状や原因、診断について解説します。
主な症状
寝違えの痛みは、朝目覚めて起き上がろうとした瞬間や、首を動かしたときに気づくことが多いです。
痛む場所は首の後ろ側から肩にかけてが中心ですが、肩甲骨まわりや背中にまで痛みが広がる方もいます。
- 首の後ろや首から肩にかけてが痛む
- 特定の方向に首を向けると痛みが走る
- 可動域が制限され首を回せない(振り向くときは体ごと向きを変える)
- 肩や背中が張るように痛む
症状の程度は人それぞれで、少し動かしにくい程度で済むこともあれば、首がまったく回らないほど強く痛むという方もいます。
原因
寝違えは身近な症状ですが、検査や画像で変化をとらえられないことが多く、はっきりした原因はわかっていません。
日本整形外科学会では、次のような原因が考えられるとしています。
- 睡眠中に不自然な姿勢が長く続くことによる首の筋肉の血流不足
- 前日などに慣れない運動や作業をしたことで、首の筋肉がこむら返りのようにけいれんする
- 首の骨の後ろ側にある椎間関節を包む袋(関節包)に炎症が起こる
こうした筋肉の疲労や関節包の炎症は、腕の使い過ぎや同じ姿勢の継続がきっかけになる場合が多いと考えられています。
長時間のパソコン作業や上肢の使いすぎ、疲労や飲酒によって寝返りが減ることなども、首周辺の筋肉へ負担をかける要因です。
(参考:日本整形外科学会『「寝違え」』)
診断
寝違えは、症状が現れたタイミングや痛む場所、首の動き、神経症状の有無などから判断します。
朝起きてから痛むものの、数時間〜数日で改善が見られる場合は一般的な寝違えの経過と考えられるでしょう。
一方、痛みが強い場合やなかなか改善しない場合には、他の病気がないか確かめるため、医師が診察や検査を行います。
寝違えたときに自分でできる対処法

ここでは、寝違えた時に自分でできる対処法を紹介します。
なお、強い症状がある場合は自己判断でストレッチやマッサージしたりせず、整形外科を受診してください。
安静にして無理に首を動かさない
寝違えた直後に痛みが強い場合は、痛みが出る方向へ無理に首を動かさず、楽な姿勢で過ごしましょう。
「硬くなっているなら動かしてほぐしたほうがいいのでは?」と思うかもしれませんが、誤ったケアを行うと症状が悪化したり長引く原因になります。
一般的な寝違えであれば、数時間から数日で痛みが軽快していくことが多いです。
市販の鎮痛剤を飲む
痛みがつらいときは、市販の鎮痛薬を服用することで痛みを緩和できます。
ただし、鎮痛剤はあくまで一時的な対処であるため、痛みが続くようであれば早めに整形外科を受診してください。
様子を見ながらストレッチを行う
しばらく経って寝違えの痛みが落ち着いてきたら、痛みが出ない範囲でゆっくりストレッチを行うことで、首の筋肉をほぐせます。
以下のようなストレッチがあります。
【肩回し】
- 左右の手のひらをそれぞれの肩に置く
- 肩甲骨の動きを意識しながら、肘で円を描くようにゆっくり肩を回す
- 前回し・後ろ回しを無理のない範囲で行う
【首から肩のストレッチ】
- 右手を頭の上に添える
- 頭をゆっくり右側へ傾け、左側の首から肩を伸ばす
- 反対側も同様に行う
なお、痛みを我慢して行うと逆効果になる可能性があるため、無理に行わないようにしてください。
また、寝違えたばかりで痛みが強いタイミングも自己判断でのストレッチは避けましょう。
マッサージをする
軽く首や肩を揉むなど、マッサージによって筋肉の緊張が和らぐ場合もあります。
痛みが強い時期に無理に揉みほぐすことは避け、痛みが強くならないか様子を見ながら行ってください。
寝違えが続く期間の目安は?どのくらいで治る?

寝違えの症状が続く期間には個人差がありますが、軽度であれば数時間から数日程度で徐々に改善していくことが一般的です。
軽い寝違えであれば、鎮痛剤や湿布などをしなくても、休息やストレッチなどで治ることもあります。
一方、重度の場合は1週間以上痛みが続くこともあり、この場合は他の病気との鑑別が必要になるため、整形外科を受診しましょう。
寝違えを予防する方法

首周辺の筋肉に負担がかかり続ける状況を避けることが、寝違えの予防につながります。
ここでは、日常生活で意識したい4つのポイントを紹介します。
姿勢を改善する
デスクワークやスマートフォンの操作などで長時間同じ姿勢を続けると、頭を支えている首や肩の筋肉に負担がかかります。
パソコンを使う際は画面の高さや椅子の位置を調整し、必要以上にうつむいたり首を前へ突き出したりしないよう意識しましょう。
また、正しい姿勢でも長時間続ければ筋肉の負担になります。
定期的に姿勢を変えたり、立ち上がって身体を動かしたりすることも、首周辺の負担軽減につながります。
日頃からストレッチや運動をする
寝違えの予防には、日頃から適度に身体を動かし、首や肩周辺を同じ姿勢に固定し続けないことも大切です。
無理に激しい運動を行う必要はないため、ウォーキングなど全身を使った運動を無理のない範囲で継続してみてください。
デスクワークの合間に肩を回したり、肩甲骨周辺をゆっくり動かしたりする習慣を取り入れるのもおすすめです。
自分に合った寝具を使う
睡眠中に首へ負担をかけにくい環境を整えるため、マットレスや枕などの寝具も見直してみましょう。
特に、首の位置に直接影響する枕は、自分の体格や寝姿勢に合ったものを選ぶことが大切です。
枕が高すぎたり低すぎたりすると、就寝中に首が不自然な角度になりやすくなります。
机やソファなどで寝ないようにする
疲れているとき、机に突っ伏したりソファに座ったまま眠ったりしてしまった経験がある方は多いのではないでしょうか。
机に突っ伏したり、ソファのひじ掛けを枕代わりにしたりすると、首が不自然な角度に曲がったまま長時間固定され、寝違えが起こりやすくなります。
短時間の昼寝をする場合も、首を支えるクッションを使うなど、首に負担をかけない工夫をしておくのがおすすめです。
整形外科での寝違えの治し方
整形外科では、湿布や内服薬といった方法のほか、必要に応じてリハビリなどを組み合わせることもあります。
ここでは、整形外科での寝違えの主な治療について詳しく見ていきましょう。
湿布
寝違えによる首の痛みに対しては、炎症や痛みを抑える成分を含む湿布が効果的です。
寝違え直後は冷湿布で炎症を抑え、痛みが持続する場合は温湿布で血行を促します。
内服薬(鎮痛消炎薬や筋弛緩薬)
症状に応じて、炎症と痛みを抑える「鎮痛消炎薬」や筋肉のこわばりをゆるめる「筋弛緩薬」などの内服薬が処方されることがあります。
漢方薬
寝違えの治療では、西洋薬だけでなく漢方薬が使われることもあります。
代表的なものとしては、筋肉の急なけいれんや痛みには「芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)」、首や肩のこわばりに対しては「葛根湯(かっこんとう)」などが用いられます。
リハビリ治療
痛みのピークを過ぎても首の動かしにくさや張りが残る場合は、リハビリ治療で回復をサポートします。
基本的に、寝違えは数時間〜数日で改善するため治療が必要ないことが多いですが、痛みが続く場合は我慢せずに整形外科で相談しましょう。
正しい姿勢・ストレッチ方法の指導
「寝違えがなかなか治らない、長引く」「寝違えを繰り返す」という方は、普段の姿勢や身体の使い方、生活を見直すことも大切です。
整形外科では、首や肩の動く範囲や筋肉の張り具合を確認したうえで、その方の状態に合った無理のないストレッチ方法のアドバイスなども可能なため、一度相談してみましょう。
寝違えの症状と間違われやすい病気・状態

首の痛みは、寝違えだけでなく以下のような別の病気が原因で起こることもあります。
| 病気・状態 | 主な症状・特徴 |
| 頚椎椎間板ヘルニア | 首・肩の痛み、腕や手指の痛み・しびれ、筋力低下など |
| 頚椎症性神経根症 | 首から肩、腕にかけての痛みやしびれ。首を反らすと悪化することもある |
| 頚椎症 | 首・肩・腕の痛みやしびれ、手指の動かしにくさなど |
| むちうち(外傷性頚部症候群・頚椎捻挫) | 交通事故や転倒などの外傷後に起こる首の痛み、肩こり、頭痛など |
| 後頭神経痛 | 首の付け根から後頭部・頭頂部に走る鋭い痛み |
| 肩関節周囲炎(四十肩・五十肩) | 肩の痛みや動かしにくさ。腕を上げる、背中に回す動作が困難 |
| 線維筋痛症 | 全身の広い範囲に続く痛み。疲労感や睡眠障害を伴うこともある |
| その他(筋肉の緊張、心因性の痛み) | 筋肉の緊張による首・肩の痛みやこり。ストレスなどが影響することもある |
寝違えたときに整形外科を受診する目安

寝違えの痛みが強い場合や数日経っても改善する傾向がない場合、首以外にも症状がある場合は整形外科を受診しましょう。
特に、しびれや筋力低下などがある場合は、「いつもの寝違え」と放置せず、原因を確認することが大切です。
寝違えについてのよくある質問

ここでは、寝違えについてのよくある質問を紹介します。
Q:首の寝違えをすぐに一瞬で治す方法はありますか?
A:寝違えを一瞬で確実に治す方法はありません。
起床時に発症した一般的な寝違えであれば、数時間から数日で改善していくことが多いため、安静に過ごすことが大切です。
早く治そうとして首を強く揉んだり、無理に動かすことは避けましょう。
Q:寝違えてすぐにストレッチをしてもいいですか?
A:寝違えた直後、強い痛みがある状態でストレッチすると悪化してしまう可能性があるため、自己判断で行うのは避けましょう。
痛みが落ち着いてから行う場合でも、途中で痛みが増した場合は中止し、症状が続く場合は整形外科で相談してください。
Q:ストレートネック(スマホ首)と寝違えは関係ありますか?
A:ストレートネックは、本来ゆるやかな前向きのカーブを描いている首の骨(頚椎)が、まっすぐに近い状態になることを指します。
頚椎のカーブが失われると頭の重さを分散しにくくなり、首や肩の筋肉に負担がかかり続けるため、寝違えを起こしやすい状態につながる可能性があるでしょう。
ストレートネックはスマートフォンやパソコンを見るときの前屈み姿勢が続くことが一因とされることから「スマホ首」とも呼ばれており、近年お悩みの方が増えています。
まとめ
寝違えは、睡眠中の不自然な姿勢や疲労をきっかけに首まわりに痛みが生じる状態で、多くは数時間から数日ほどで回復に向かいます。
痛みを我慢したストレッチや強いマッサージは避け、無理に刺激しないようにしましょう。
痛みが強くなる、腕や手にしびれがある、力が入りにくいといった場合は、頚椎椎間板ヘルニアや頚椎症性神経根症など別の病気も考えられるため、早めに整形外科で相談することが大切です。
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土曜日も診療しておりますので、寝違えと思われる症状がなかなか改善しない方や、首の痛みを繰り返している方は、ぜひお気軽にご相談ください。